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心斎橋から大阪城へ<大阪市> [マラソン]

大阪の地図を広げながら考えた。

いったい、どこを走ればいいのか。

近くで快適に走れそうな河原や一本道は見当たらない。

ここは心斎橋。


でも、北東報告に緑の土地。

大阪城だ。ここに決めた。

ホテルのある心斎橋からなら、

御堂筋をまっすぐ北へ向かい、

中之島に突き当たったら、右に曲がればいいだろう。

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御堂筋は歩道が広く走りやすい。

と思ったのは最初の2、3百メートルくらい。

すぐに信号に立ち止まった。

しかも赤の時間が長い。

3度目ぐらいに立ち止まった時、

御堂筋はあきらめて右に折れ、裏通りを行くことにした。

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赤で止まるたびに、

北か東に渡れる方向の横断歩道を渡る。

午後6時頃だろう。

仕事を終えて家路を急ぐ人たちがあふれていて、

広い歩道でも走りづらい状況だ。

川の手前に沿うように走っていると、

右手に大きな天守閣が見えてきた。


2014年の大阪マラソンでスタートを切った場所だ。

坂道を登り城の近くへ。

大きく美しい城は、やはり見ごたえがある。

外国人ら観光客、そしてランナーの姿もやはり目に付く。

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帰り道はしばらく南下して、西に向かえば淀屋橋。

簡単に考えていたけれど、

南に行き過ぎたらしい。

スマホのアプリを見ながら帰ることにした。

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大阪は南北に走る道を「筋」(すじ)と呼ぶ。

有名なのが御堂筋。

もちろん、「雨の御堂筋」の影響だ。

あとは知らない。

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この道も筋がつくのだろう。


暗くなりかけ、いくつもの寺の前を通る。

寺町通りとかいうのだろうか。

小さな運河をわたると、ちょっとにぎやかになってきた。


距離は10KMを越えている。

さて、今夜の一杯はどこにしようか。

旅に出て、走って、最初の生ビール。

至福の時間を、どこで迎えるかが問題だ。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

結局、駅に近い地下のお好み焼き屋に入った。

これまで大阪で食べた中では最低ランクでがっかり。

まあ、こんな日もある。

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武家屋敷の町並みを駈ける<秋田県仙北市角館> [ラン旅]

気温はまだ高いけれど、

吹く風が爽やかに感じるのは、

湿度が低いせいなのだろうか。


秋田新幹線も停車するJR角館駅前の観光案内所に荷物を預けて、

武家屋敷の町並みを走ることにした。

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駅前に山車がかざってある。

今週末、角館まつりが行われるらしい。


駅から伸びる商店街を走り、

右に折れるとまもなく武家屋敷が続く。

角館は「みちのくの小京都」と呼ばれる。

広い道の両側には黒い塀の広い屋敷が並び、

そのいくつかは、自由に見学することができる。

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背の高い並木のおかげで、

道幅の広い武家屋敷通りは影に覆われている。

走るにも絶好のコースといえる。

直線距離では1kmもないかもしれない。

だから、何度も往復した。


武家屋敷の近くを広い川が流れていた。

田沢湖とつながっているのだろうか。

写真で見たことがある。

確かこの河原は、桜の名所としても有名だったはずだ。


そして今はコスモスが揺れていた。

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何度も往復していたせいか、

その都度目があってしまうお土産屋さんのおばさんは、

「またか」という目でこちらを見ていた。


今日、新幹線で帰る前に汗を流したい。

街中に「角館温泉」があったはず。

古いのれんをくぐった。

日曜の午後。

人の姿は少ない。

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のんびり浸かりたいところだけれど、

湯船の温度は44℃はあったろう。

とても長風呂にはできなかった。


ぬるいお風呂が私は好きだ。

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穂高の森を駈ける<長野県安曇野市> [ラン旅]

毎年夏。

本格的にトレーニングを始めるのは、

いつも安曇野からに決めている。


8月は暑くて長い距離が走りこめない。

でも、秋のレースはだいたい11月ぐらいから始まるから、

8月に走りこまないと間に合わないのだ。


安曇野市有明にある穂高温泉郷は標高500メートルくらい。

盆地のため日中の暑さは東京とさほど変わらない。

でも、直射日光を遮る森の中のコースは、

もう何年も走り続けているお気に入りのコースだ。


朝7時。

鳥の声、そして早くも蝉の声がうるさいほど聞こえてくる。

森の中を進む。

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2軒隣にあるペンションの駐車場は満杯だ。

それもそのはず。

世間はお盆休みの真っ只中だ。


しばらくは森の中に別荘が点在する中を進む。

トイプードルを連れて散歩するご夫婦。

「おはようございます」あいさつしてみる。

ご夫婦はチラっとこちらを見た。

のんびり朝の散歩をする人たちには、

私のような大柄の男が走って近づいてくるのは、

ちょっと不気味な印象を与えるのだろう。

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何年も同じコースを走っているが、

実は、時々間違えることがる。

森の中で目印が少なく、

案内標識も見逃してしまうことがるからだ。

今回は注意深く探しながら満願寺方面へ向かう。


森を抜けると、

見晴らしの良い棚田が広がる。

盆地の向こうには、美ヶ原などの山々が見えるはずだけれど、

厚い雲に覆われている。

まあ、おかげで涼しく快適に走れるのだ。

ちょっとした集落を通り抜け、

渓流沿いに山道を登ると、

満願寺の入り口だ。

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木造の古い橋が見えて来る。

名前は「微妙橋」。

橋が架かっているのは看板によると「三途の川」なそうだ。

満願寺へは急な勾配を上るので無理はしない。

やはりしんどいことはしんどいのだ。

湧き水を手ですくって喉を潤し、

来た道を走り始めた。

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加計呂麻島を走る<鹿児島県奄美群島> [ラン旅]

おそらく、加計呂麻島と言って、

すぐに位置がわかる人は多くないだろう。

東京から飛行機で鹿児島を経由して奄美空港に。

奄美空港でレンタカーを借りて南部の港・古仁屋港へ。

そして古仁屋港からは海上タクシーに乗り、

ようやくたどり着く。

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加計呂麻島はリアス式の海岸線が180kmも続く。

入り江の数だけ小さな集落がある。

ここ、勢里(せり)も4軒だけの小さな集落だ。


仕事に区切りをつけた土曜日の午後6時。

加計呂麻島で走るなら、今しかない。

民宿のおばさんに「ちょっと走ってきます」と言うと、

「忙しいのねえ」と呆れている。

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東に向かうことにした。

東側は道路が危険なところがあるというので、

レンタカーでの通行は避けていた。

だから初めて通るルートになる。


道路の両脇にはハイビスカスが咲いていた。

誰かが植えているのか、

それとも野生の花なのか。

どちらにしても、強い品種なのだろう。

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集落を抜けると、すぐに坂道になった。

入り江が多いということは、

坂道が多いということでもある。

右手には青い海。

左は崖になっている。

西日を背中に受けてすぐに汗が滴り落ちる。

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1キロちょっとで次の集落、佐知克(さちゆき)に着いた。

ここには加計呂麻島唯一の製糖工場がある。

おそらく家の数は10軒くらいだろう。

人の姿は見えない。

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佐知克を抜けると上り坂が続く。

民宿を出てから一度も人や車に会ってない。

走っていると、足音に驚いたらしい鳥がバタバタと飛び立つ。

その羽音にこちらもドキっとしてしまう。

よく見かけるのは全身が緑色の鳩のような美しい鳥だ。

後で聞くとアオバトという鳩の一種だった。

ジャングルの中からはほかにも昼夜を問わず甲高い鳥の声がする。

アカショウビンかもしれない。


坂道はずっと続く。

工事現場らしい場所があり、視界が開けていた。

走り始めてちょうど4km。

島の東に太平洋が見えた。

島の西は東シナ海だ。

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加計呂麻島はあちこち路肩が崩れていて、

不通の道も多い。


工事現場の先はずっと下りになる。

途中まで下って25分になった。

このまま走って次の集落、秋徳にもいってみたいが、

そうなると、この長い下り坂は、

帰り道では長い上り坂になってしまう。

もう少し走りたいが、

民宿の食事に遅くなるのも申し訳ない。

引き返すことにした。


帰り道でも、アオバトがバタバタと飛んでいく。

時折受ける西日は強烈だが、

ジャングルの木陰の道も増えてきた。


佐知克が見下ろせる。


前回、「隠れ里」を走ったが、

加計呂麻島こそが本当の隠れ里と言えるかもしれない。


汗を滴らせながら下る。

日差しがオレンジ色を帯びてきた。

勢里に入れば平坦な直線コースでゴールだ。


どうせ汗で全身びしょ濡れだ。

民宿に着いたら、目の前の海に飛び込もう。

最高のクールダウンになるはずだ。

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夕暮れの灯台へ<鹿児島県奄美大島> [ラン旅]

奄美大島の南端にある古仁屋港。

ここにやってきたのは12年ぶり。

でも、どこも変わっていない気がする。

大島海峡を隔てて、明日から過ごす加計呂麻島がまじかに見える。

フーテンの寅さん最後のロケ地だ。

古仁屋は奄美諸島では重要な港だけれど、

意外にこじんまりしている。

漁船も少ない。

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港から3分ほどのビジネスホテルを出発したのは午後6時。

まだまだ外は明るい。

まっすぐ港に向かう。

小さい港をつなぐように、

かわいい橋がかかっている。

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渡って海岸線を夕日の方角へ向かう。

古仁屋でおそらく一番大きなスーパーだろうコープを過ぎると、

すぐに海沿いの山道になった。

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60代後半くらいだろうか。

ご夫婦のような男女が前を歩いている。

この先にある灯台を目指して散歩しているのだろう。

さらに上る。

この先のカーブを右に曲がれば、

沈んでいく太陽が見えるかもしれない。

そんな期待をしてカーブを曲がった。

上り坂はやっと終わったけれど、

水平線どころか海は見えなかった。

その先にも新たなカーブが続いていた。


田舎の道では歩道がなく、

走っているすぐ横を車が走り過ぎることが多い。

ここは山道なのに広い歩道があるのがありがたかった。

もっとも車はほとんど通らないのだが。


GPSで見て3キロになったところでUターンして戻ることにした。

実はあまり時間がない。

夜、暗くなったら撮りたい写真があるからだ。

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帰り道に灯台に向かった。

高さ5メートルほどの小さな灯台だ。

60代後半くらいのお父さんもが歩いてきた。

ここを目標に散歩している人が多いようだ。

手前は大島海峡。

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下って行くとこちらに向かって来るランナー。

知らんぷりも、どうかと思い

「こんにちは!」

すれ違うとき、声をかけた。

相手は少しだけ頭を下げたきがした。


またすぐにランナーが来る。

また声をかけた。

「こんにちは」

今度は小さな声が返ってきた。

奄美の人は、ちょっとシャイな気がした。


きっと、今日すれ違った人たちは、

いつもこの道を走っているのだろう。

坂道、海、加計呂麻島、灯台。

このコースはトレーニングに向いているし、

眺めもなかなかだ。


暗くなってきた。

アマミノクロウサギに会いに行こう。


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隠れ里を走る<岐阜県中津川市> [ラン旅]

中津川に出かける2日前、

旅雑誌を開くと「ニッポンの隠れ里」という特集だった。

岐阜県の旧・加子母(かしも)村が紹介されている。

現在は合併により中津川市になるという。

その中でも村人たちの手作り歌舞伎小屋に目を奪われた。

小屋は男衆が作り、引き幕引は女性たちがお金を出し合ったという。

そのため「娘引幕」と呼ばれ、女性の名前と屋号が書かれている。

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この村を走ろう。

隠れ里を走れるなんてワクワクする。


7月初めの暑い金曜日。

加子母川に沿った道の駅に車を止めた。

隠れ里だってちゃんと道の駅はあるのだ。

駐車場から清流が見える。

鮎釣りの人が何人かいた。

午後5時すぎに走り始める。

大都市と違って地図はないのでコースは勘が頼りだ。

まず、坂道を上る。

高いところから村の全体を見てみたい。

道幅はほんの数メートル。

狭い農道のような道が曲がりくねっている。

通る車はほとんどない。

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でも、すぐに坂道は林の中に消え、

見通しの良い高台はありそうもない。

里山に沿った道を走る。

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道と田んぼの間にある用水路が音を立てている。

家のあると、必ずと言っていいほど花も咲いている。

7月はやはり花の季節だ。

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この辺りにイノシシは出ないのだろうか?

もし出たら、どうしようか。

いや、あの重たそうな体だ。

瞬発力ではかなわないが、長時間は走れないだろう。

遭遇したら、とにかくダッシュして、

最初の100mくらいを必死で走る。

あとは、サブ4ペースで走れば逃げ切れる。きっと。

そんな妄想が浮かんできた。

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立派な寺があった。法禅寺という。

高台で村の歴史を見続けて来たのだろう。


のどかな夏の田園風景。

写真を撮りながら走っているので、

距離もスピードもかせげない。

暑いけれど、疲れは感じなかった。

まだ、ずっと走れる気がした。

見あきない田舎の風景のせいか、

それともうまい空気のおかげか。

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目的地の明治座。

もちろん、もう誰もいない。


太陽が傾いてきた。

道の駅に戻ろう。

下って行くとやや道幅の広い道に出た。

両側に店舗兼住宅のような家が並ぶ。

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加子母村のメインストリートだったに違いない。

かつては賑わっていた時代もあったのだろう。


お母さんが散歩している。

すれ違う前に「こんにちは」あいさつをした。

返事は返って来なかった。

小さな村の夕暮れ時。

走っている男は怪しいに違いない。


加子母村。

また訪れることがあるだろうか。

約1時間で8km。

山の向こうに赤い日差しが隠れようとしていた。

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紀ノ川を渡る<和歌山市> [マラソン]

東京から和歌山へ日帰りすることになった。

仕事は30分で済む。

すぐに帰ってきたのでは味気ない。

だから、やっぱり走ることにした。


和歌山駅に着いたのは午後1時すぎ。

駅の案内所で日帰り温泉施設と銭湯の場所を聞く。

走った後、できれば汗を流したい。


駅ビルの地下で和歌山らーめんを食べる。

その隣に公衆トイレがあったので中を確認。

広い個室があった。

時間がなかったらここで着替えよう。

下見はオッケーだ。

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仕事を終え、ふたたび和歌山駅に戻ってきたのは午後3時20分。

帰りの列車は16時55分。

時間がない。

お風呂はあきらめよう。

駅ビルのトイレで着替えて、コインロッカーに貴重品を預けた。

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まず、まっすぐ大通りを和歌山城方向へ

1.5kmほどで見事な天守閣が見えてきた。

和歌山は初めてではないけれど、

これほどのお城があるとは知らなかった。

城の中の庭園も見応えがあったし、

和歌山市内を見渡す眺望もなかなかだ。

行ったことはあるけれど、

実はその土地のことを何も知らない。

再び訪ねて、それに気がつくことが多い気がする。

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時間がないので天守閣には入らず、すぐ下る。

次は紀ノ川へ一直線だ。


しかし、距離の割には時間がかかる。

とにかく信号が多い。

最初は駅前通りだからと思ったけれど、

横の通りでも信号が多い。

ほとんど車の行き来がないところでも信号で止まる。

走っているとタイミングが悪いのか、

信号のたびに赤に捕まっている気がする。

しかも、赤の時間がやたら長い。

だんだんいらいらしてきた。

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とはいえ、紀ノ川に出た。

紀ノ川大橋を渡る。

河口が近く、橋は幹線道路になっているせいだろう。

紀ノ川という情緒のある名前のような、

美しい景観にはほど遠かった。


20年前、北海道で暮らしていた頃、休日はカヌーとキャンプを楽しんでいた。

そんな時、アウトドア雑誌で「紀ノ川でカヌーを楽しむ家族連れ」の写真を見た。

山の間を縫うように流れる美しい川を、

父、母、子供たちがそれぞれが小さなカヤックで下っていた。

青空と山の緑が目にしみた。

いつか家族でこんなきれいな川をカヌーでツーリングしよう。

そんな夢を描いた。

でも、子供が小さい頃は、親は働き盛りのことが多い。

今、振り返ってみるとそうだった。

夢が、夢のまま終わっていたことにさえ気がつかなかった。

「いつか、こうしよう」なんて、所詮は叶わないものかもしれない。


思えば、今年85歳の父は、

「野生の王国」などTVのドキュメンタリー番組を観ながらよく言ったものだ。

「いつか、一緒に行こうな」と。

父は、おそらく一度も海外旅行をせずに生涯を終えることだろう。

紀ノ川大橋を渡りながら、

そんな子供の頃のことを思い出していた。

「いつか一緒に行こうな」は本気で言っていたのだろうか。


橋を渡り終えてすぐUターン。

あまり時間がない。

今度は上流側の歩道を走る。

平日ならもっと車の量が多いのかもしれない。

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駅を目指す。

運河のような小さな川沿いに長屋のようなアーケードが続いていた。

夜になったらにぎわうのかもしれない。

小さな路地を走ったせいか、

今度は信号に邪魔されなかった。

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途中、コンビニで「汗拭き」を買った。

駅に戻って9.87kmだった。

ちょっと走って10kmちょうどになったところでGPSを止めた。

広いトイレの個室で汗をふき、

下着だけ着替えた。


新大阪に向かう「くろしお11号」の発車時間までまだ6分ある。

改札に着くと特急列車が発車しようとしている。

とりあえず改札を入り、時間を確認しようとすると、

駅の職員らしい女性が声をかけてきた。

「もう出発ですよ」

しかし、まだ16時49分。

おかしいと思いつつ、未確認のまま目の前の車両に乗る。

「何号車ですか?」その女性が車両の外から聞いてくる。

「5号車です」チケットをみながら答える。

「こちら後方の車両です」

お礼を言う前にドアが閉まった。

間一髪。

時間を勘違いしていた。


水分補給できないまま新大阪へ。

混雑していたけれど、

なんとか缶ビールを購入。

新幹線の中で喉を潤した。


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初夏の棚田を走る<山梨県富士川町> [ラン旅]

気温はまだ25度を超えているだろう。

すっかり夏の陽気が続いている。

ホテルを出たのは午後5時頃。

今回、GPSを持ってくるのを忘れてしまった。

始めての土地でのRUN、記録を残さずただ走るのは虚しい。

何か記録を残したい。

そこでスマホにマラソンのアプリを入れた。

走ったコースが地図に残ることが、

ちょっとした楽しみなのだ。

インストールが終わってすぐに走ることにした。

アプリの使い方は知らないけれど、

なんとかなるだろう。

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ホテルを出て、スタートをタップした。

まずは櫛形山の方向を目指す。

富士川町は増穂町と鰍沢町が数年前に合併した小さな町。

ビジネスホテルはたったの1軒しかない。

なだらかな坂道を上る。

県道に沿った歩道を走っていると、「つり掘」という手書きの看板があった。

釣り堀もちょっとのぞいてみたいのでそちらへ。

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その後看板はなくなり、つり堀がどこかはわからなくなった。

ヤマメの釣れそうな川沿いの道を上る。

その山道ちょっと走ると、すぐに南側へ下っていた。

南東に見えるはずの富士山は雲に隠れている。

Uターンすることにした。

棚田ある北へ向かう。

午前中、高台を探していて見つけた棚田は、

甲府盆地が見渡せる。

こんな風景の中を走ると疲れは感じない。

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細い川ぞいに入ると年配の女性が犬を連れていた。

のどかな散歩コース。

ジョギングにも気持ちいけれど、

こんな田舎では走る人もいないかもしれない。

女性を怖がらせたりしないように、

にっこりと、出来るだけやさしい声を出してあいさつをする。

「こんにちは」


棚田はまだ田植えが始まったばかり。

東北では、もう終わっていたのに、

甲府盆地は遅いようだ。

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棚田周辺を一回り。

まだ30分も走っていないが、

お腹が空いたので戻ることにする。

帰りは下り坂。

ピッチが上がる。

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西日が背中にあたる。

47分は過ぎていた。

スマホを見ると、

表示はなぜかマイル。

平均スピードもマイル。

ピンとこない。

まあいいか、地図は残る。


地図を見て振り返るのは楽しい。

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この記録は翌日のコース。

ほとんど同じだけれど、ちょっと短い。




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清水へ、二条城へ<京都市・その2> [ラン旅]

さて、今日はどこを走ろうか。

日中、仕事で足が棒になるほど歩き回ったのに、

走りたくなった。

走り始めると、不思議なことに疲れを感じない。

むしろ疲れが取れる気がする。


岩本能史さんが著書に書いていた。

足に負担がかかるのは、

1、立っていること。

2、歩くこと。

3、走ること。

という順番なのだと。

なるほど。

走っている方がずっと楽だ。


さて、京都のにぎやかな四条通りのホテルを出て、

まずは南へ。

京都は道がわかりやすい。

南下すれば五条。

そこを東に向かえば清水寺の方向だ。

午後6時過ぎ。

もう中には入れないが、

近くに行けばそれでいい。

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途中の細い道を入る。

古い町並みというほどではないけれど、

昔ながらの商店街がある。

小さな扇子屋さんが、まだ開いていた。

扇子だけの店で経営が成り立つのだろうか?

京都だからこそかもしれない。

銀座では難しいだろう。


鴨川に出た。

多くの車が行き交う黄昏時。


清水寺の方向から歩いて来る和服姿の観光客。

その観光客が喜びそうな情緒ある町並み。

全国に「小京都」と呼ばれる場所がある。

でも、所詮は小京都であって、京都にはなれない。

京都はさすが京都だと思う。

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坂を上り、清水の入り口へ。

中国人らしい観光客が大勢いた。

日本人はそんな格好しないもの。

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振り返れば京都の夕暮れ。


祇園周辺は混雑で歩きづらいので、

いったん鴨川に出た。

今日の最高気温は28度だったとか。

2日前より川べりに人が多い。

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オレンジ色の雲がまだ見える。

この空を背景に二条城の写真が撮れないかな。

ちょっとペースを上げる。

四条周辺は混雑しているので、

そのまま三条へ。

道幅も、歩道も広く走りやすい。


すっかり暗くなってきた。

あと1ブロックで二条城。

ライトアップされている真っ白な壁が見えた。

皇居を思い出した。

空を見上げると、

残念ながらオレンジ色の雲はもう見えない。

群青色に染まっている。

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周囲を走る。

私のような年配者や若者も走っている。

やはり二条城の外回りは信号もなく走りやすいのだろう。

東京なら皇居。

福岡なら大濠公園。

京都なら二条城。

距離はどれくらいなのだろう。


そういえば、京都は高校駅伝や、県別対抗駅伝とか、

すごく強かったような。

こんな風に走りやすい環境のせいかもしれない。

明日は最終日。

もう京都の街を走れない。

そう思うとちょっと寂しくなった。

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鴨川沿いと祇園を走る<京都市> [ラン旅]

夕方、小雨が降ってきた。

夜にかけて本降りになるという。

でも、このくらいの雨ならランナーにとっては、むしろ歓迎だ。

ほてった体を適度に冷やしてくれる。

喉の渇きも感じないですむ。

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5月のGW明け。

急に気温が高くなり、

前日、東京の最高気温は29度まで上がった。


ここ京都も半袖シャツの人が目につく。

今回の仕事では、雨はあまりうれしくない。

ならば、仕事は明日から頑張って、今は走ってしまえ。


四条通りに面したホテルを飛び出し、

鴨川めがけて走り出した。

京都でも特ににぎわう大通り。

歩道が広くて走りやすい。

1kmほどで河原町。

そして鴨川にかかる四条大橋に出た。

まだ、外で一杯やるには早いのか、

テラスに客は少ない。

いや、やはり小雨のせいだろう。

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清流を右手に見て川沿いの遊歩道を上流に向かう。

意外に走っている人の姿はほとんど見ない。

こんな素晴らしいランニングコースなのに。

30分、約5kmほどで下鴨神社手前の鴨川大橋に着いた。

鴨川デルタと呼ばれる地元の人の憩いの場所だ。

川を離れて京都御所に向かう。

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京都御所。

人影はほとんどない。

ザッザッザッ。

だだっ広い場所に、

小さい砂利を踏む自分の足音だけが響く。

散歩の人が少しいるだけで人影は少ない。

御所内にきれいなトイレがあった。

用はないけど中を見てみたい。

さすが、御所内の公衆トイレだと思った。


南に抜けて、風情のある商店街や和菓子店の前を走る。

あっという間に四条通に戻ってきた。

八坂神社や祇園をゆっくり駆けながら探索した。

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歩いたら、それなりの距離だけど、

走ってしまえば短い時間でいろいろ見られる。

観光に手っ取り早いのがランニングかもしれない。

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1時間39分で13.76km。

タイムはともかく、京都の街を走る喜びは味わえた。

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