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夕暮れの宍道湖を走る<島根県松江市> [ラン旅]

2月。まだまだ寒い日がつづいていた。
それだけ空気が澄んでいるとも言えるのかもしれない。
島根県の出雲と松江を結ぶローカル列車の車窓から、
遠くに富士山のような形の山が見えた。
中国地方の最高峰・大山(だいせん)に違いない。

松江の滞在はたったの一泊。
のんびりしてはいられない。
ホテルに着いて荷をほどき、すぐに走り始めた。
松江城や周囲を囲む水路、武家屋敷、宍道湖。
美しい街をできるだけ走って見てみたい。 

松江城.jpg

ホテルの裏は、ちょっとした飲屋街。
今は開店を前に眠りから覚めたような感じだ。
いくつか橋を渡るとすぐに松江城が見えてきた。
街の中心の高台にある城は
松江が初めての私にとっては格好の目印になる。

松江2.jpg
城もじっくり見物したいけど日も傾いてきた。
急ぎ足で反対側に抜けると運河に沿って武家屋敷が並んでいた。
小泉八雲の旧住居も、その一角にあった。 

突然、思い出した。
以前、仕事で「日本の風景100選 」を選ぶ作業に携わったことがある。
その100選の中に「宍道湖の夕日」があったはずだ。
こうしちゃいられない。
夕日の写真を撮らなくちゃ。
ランニングのため、持っているカメラはスマホのみ。
カメラを取り行くためペースを上げてホテルに戻った。

「秋の日はつるべ落とし
2月だってまだまだ日が暮れるのは早い。
宍道湖の湖畔に急ぐ。

湖畔についた。
夕日を遮る雲はほとんど見えない。
絶好の夕日日和だろう。
左手に弁天島のような小さな島が見える。
夕日とあの島が一緒に写った写真がガイドブックに載っていたはず。 
寒いのにカップルや学生、主婦など、
夕日を見に100人を超える人たちが集まっている。

島と夕日が重なりそうな場所まで走る。
だんだん人が増えてきた。
カメラを三脚に据えた集団もいる。
夕日を見るためにできたのだろう。
堤防のような階段もある。

持ってきたミラーレスカメラやスマホでシャッターを押す。
湖とあって、夕日は 水平線に沈むわけではない。
風はなく、鏡のように穏やかな湖面に一羽のカモが泳ぐ。

宍道湖.jpg

小島のシルエット。
オレンジ色の空。
湖面に反射する光の帯。

みんながここに集まるのもうなずける気がした。

夕日は宍道湖の対岸、出雲の方角の山に沈んで行った。

宍道湖2.jpg

誰もがすぐには帰らない。
沈んだあとの空をなごり惜しそうに眺めていた。

空はオレンジ色から、青に、群青色に刻々と変化していく。
そして星が輝き始めた。 

 

 松江brog.jpg

 (夕日の写真撮影時、GPSはoffだったようです)


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海底トンネルを走る<山口県下関市> [ラン旅]

山口県下関
これほど多様な観光スポットに恵まれた町は珍しい。
大阪や京都などの大都会は別にして、
下関は長崎や函館に匹敵するほど見所が多い町。
2017-04-09 09.21.50.jpg 
                     (火の山からみた関門海峡)
壇ノ浦の合戦や巌流島
幕末の下関戦争など数々の歴史の舞台になった関門海峡。
対岸は福岡県北九州市門司区。
狭い海の道を貨物船や豪華客船旅客船が次々と行き交う。
2017-04-09 09.23.37.jpg
               (みもすそ川公園の源平合戦の像)
 
下関駅の近くにホテルをとった。
海峡の下にある海底トンネルまでは約5キロ。
からとワーフや唐戸市場など、
観光客でにぎわうあたりを船を眺めながら走る。
山側には洋風建築の旧英国領事館や赤間神宮などが現れ飽きることはない。
 
2017-04-09 09.23.00.jpg
                     (赤間神宮)
関門トンネルが車道と人道がある。
車道の下が人道という歩行者専用のトンネルになっている。
今回の目的地はその関門トンネル人道を走ることだ。
世界でも例をみない歩行者専用の海底トンネルなのだ。
関門橋のほぼ真下にあるみもすそ川公園。
源平合戦の像や下関戦争の砲台跡が数々の歴史の舞台だったことを物語る。
地下には大型のエレベーターで降りる。
ロータリー風の休憩スペース。
門司まで続く海底トンネルの入り口だ。
ちょっと湿ったような空気に包まれる。 
2017-04-09 09.24.59.jpg 
門司を目指して走り始めた。
5分も走らないうちに山口県と福岡県の県境があった。
このトンネルは約700メートル。
しっかりトレーニングしたいランナーは何度も往復することになる。
下関、門司、それぞれのロータリーに着替えやドリンクを置いている人もいる。
ひょっとしたら世界でも珍しい恵まれたコースかもしれない。
無料の駐車場があり、
雨、風、寒さ、暑さもしのげるランニングコースなんて、
そうそうあるものじゃないだろう 
地下だから景色は楽しめないけれど、
海底を走っている妙な面白さは感じるはずだ。
何度も同じランナーやウォーキングの人とすれ違う。
2017-04-09 09.24.33.jpg
今回の旅では4日間のうち2度走った。
海底を走った妙な達成感があり、
帰り道には海峡の景色もたっぷり楽しめる。
夕暮れに対岸の門司の町が輝き始めた。
下関海響タワーのシルエットが夕日に浮かび上がった。
2017-04-09 09.22.27.jpg
 
これから当分の間、旅RUNを続けます! 
 
下関burogu.jpg 















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猛暑の第32回NAHAマラソン報告 [NAHAマラソン]

そうだった。
タイムを気にするのなら、ここに来る必要はない。
自己ベストを狙うならば、つくばや金沢に出ればいいのだ。
青空の下、夏のような日差しを感じながら熱烈な応援をうけて走る。
振り返れば南国マラソンの真骨頂だった。
ゴールを目指して走っている頃は、
ただ、暑さを呪っているだけだったけれど。
2016-12-14 22.14.01.jpg
 
天気予報の最高気温は27℃。湿度もかなり高い。
しかし、曇りのち雨というから何とかなるだろう。 
日よけのキャップは汗を吸うと重たくなる。
サングラスもやめた。
シンプルに行こう。
日焼け止めもせずにスタートした。
昨年、一昨年と違ってスターターは有名人でなないようだ。
2016-12-14 22.08.24.jpg
国道52号線を右に曲がって、すぐに国際通りを上る。
3年連続となるが、
メインストリートの真ん中を走る快感はなんとも言えない。
東京・銀座、大阪は御堂筋、福岡天神、そして那覇なら国際通りだ。
スタート直後だから上り坂も気にならない。

しかし、2kmも走ってないのに、
もう汗が噴き出してきた。
からみつくような暑さと湿気はスタミナを削ぐ。 
タイムは気にしないことにした。
このコース、この暑さで自己ベストは到底狙えない。
今できる走りをすればいい。

3kmを過ぎた。
左手に与儀小学校。 
去年、応援に来てくれたシーサーさん夫妻がいたのはこのあたり。
そう思うと誰もいないのは、ちょっと寂しい。
今年も参加の連絡をすればよかったかな。
2016-12-14 22.11.33.jpg
3度目の上りが終わった頃、
名物の音楽が聞こえてきた。
走りながら「 YMCA」をするのはNAHAマラソン名物でもある。

走り始めた直後から水は飲まずにはいられなかった。
私設エイドで小さく砕いた氷が入ったシークァーサージュース。
お代わりしたいほど美味しかった。

一緒に参加していた従兄弟の光君は私より10歳若い。
自己ベストも私より17分速い3時間41分。
同じDブロックでスタートした。
「ゆっくり走る」と言って、すぐに離れた。
2016-12-14 22.35.52.jpg
市街地を抜け南部に入るとサトウキビ畑の中を行く。
エイドで絞ったばかりのサトウキビジュースの提供もある。
3度も出ていると、どこでどんなエイドがあるかもわかってくる。

今回、ゼリーは持たなかった。
糖分は私設エイドでお世話になろうと思ったからだ。
NAHAは沿道の人たちが食べ物やジュース、かちわり氷などを提供してくれる。
沿道にズラリ並んだ応援の人たちが、
それぞれエイドの品を持っていてくれるのがNAHA名物。
おそらく沿道の人の数では東京、大阪に次いで3番目だろう。
でも、熱い応援という点では日本一ではないかと思う。
ゼリーなどは持たないですむ分、
荷物は軽くなる。 
 
10km。1時間4分。
それほど悪くもない。
4時間30分は切れるかもしれない。
いくらタイムは気にしないと言っても、
やはり最低限のタイムは残したい。

平和祈念公園に入る。ちょうど中間点は公園内にある。
ここは私たちが決して忘れてならない場所。
走りながら手をあわせる。 
今、目の前に見えるのは、 
熱い応援と、はじけるような笑顔。
沖縄の人の思いが集まっている気がした。
もう3年もNAHAマラソンを走り続けているのは、
この場所を走りたいからかもしれない。 
 
エイドにもらったトマト丸1個。
しかも大きい。
今回は残さずしっかり食べた。
タイムを気にしなければ、じっくり味わえる。
中間点は2時間15分で通過。
ちょうど4時間30分ペース。 
 
NAHAマラソンは参加者が約3万人。
その割には狭いコースも多く、堂々と真ん中を歩く人が増えると、
走りづらい。
 2016-12-14 22.13.09.jpg
祈念公園の次は、ひめゆりの前にある、
沖縄そばのエイドだ。
こちらは進みながら順番が決まっている。 
1、手前で割り箸受け取り、
2、次にそばを受け取り、
3、食べる
4、ゴミ袋が待っている。
という流れで、ごちそうさま。 
 
雨が降る気配はなかった。
それどころか曇りもしない。
今も見上げれば広がっているのは青い空。
夏の日差しはしばらく続きそうだ。
  2016-12-14 22.35.04.jpg
25キロを過ぎの下りでは眼下に南シナ海が広がる。
その先には慶良間諸島。
ペースはキロ6分くらいだろうか。
あまり気にはしなかった。
でも、遅ければそれだけ長く走ることになる。
さっさとゴールしてしまいたい。
 
時々、倒れた人がいて、
何人かが囲んでいた場面を見たし、
救急車の音も何度か聞いた。
2016-12-04 18.12.48.jpg 
走りながら、かちわり氷を持っている人を探す。
飲み物も、氷が入っていそうな私設エイドを探した。
大きなエイドでは、バケツから柄杓でコップに水を注いでいる。
そんな場所の水はほぼ常温で美味しくない。 
袋に入ったかち割りの氷をもらい、
しばらくは首にあてる。
冷えてない飲み物をもらったときに、コップに入れて飲んだ。 
2016-12-14 22.14.37.jpg 
去年、水だと思って飲もうとしたら牛丼だったというエイド。
そう、吉野家の前にある。
今回は写真だけ撮らせてもらった。
 
歩きたい。
マラソンを走っている時、いつも思うことだけれど、
今回は特に歩きたかった。
これまでフルマラソンで歩いたのはたった1度。
1番最初のレース、館山若潮のときだった。
もう4時間30分も難しいし、
タイムは気にしなくたっていいはず。
歩いてしまおうか?
いや、一度歩くと癖になるのではないか? 
30kmを過ぎると、ずっとそんなことを考えるようになった。
歩きたい気持ち。
それを我慢しようとする気持ち。
 2016-12-14 22.15.15.jpg
糸満の商店街を抜けた頃だったろうか。 
後ろから、足音が聞こえてきた。
タ、タ、タ、タ、タ・・・
小刻みで、メトロノームのように正確なリズムを刻んでいる。
音に合わせて走ってみる。
ちょっと楽になった気がした。
同年代くらいの女性の足音だった。
しばらく音が聞こえる距離を保って走った。 
 
あと5km。
空港の表示が見えてくるとゴールも近い。 
ここからの1kmがなかなか減らないけれど。
歩かないですむはずだ。
 
沿道の私設エイドで氷水をもらう。
私設エイドはコップの捨て場所に困ることが多いが、
10mほど先にゴミ袋を持っているお兄さんがいた。
「冷たくて美味しかった」お礼を言ってコップを捨てた。
 2016-12-14 22.16.18.jpg
大きな信号を左に折れるといよいよ競技場が見えてきた。
いたいた。
赤いTシャツを着た丸坊主の高校生たち。
県内の高校球児たちが、応援や会場内のボランティアをしているのだ。
威勢のいい大きな声で応援してくれる。
「ありがとう」言いながら、ハイタッチを繰り返す。 
しばしの間、疲れを忘れる。
競技場のトラックに入った。
あと半周でいよいよゴールだ。
 
もう4時間30分は過ぎている。
始まる前は想像しなかったような遅いタイムになった。
苦しかったけど完走だ。 
ガッツポーズしたって許されるはず。
両手を広げた。


 2016-12-04 18.11.22.jpg
4時間37分54秒、グロスでは4時間39分45秒。
 順位はちょうど2,400位。
 琉球ガラスのメダルをかけてもらった。
メダルは何度もらっても、その瞬間はちょっと嬉しい。 
 
空を見上げると、ようやく太陽に雲がかかり始めていた。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
翌日の新聞によると、当日の最高気温は28.2℃
12月の沖縄で28℃を記録したのは102年ぶり。
完走率は53.2%という低さだった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 












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第3回福岡マラソン報告 [福岡マラソン]

九州の中心と言ってもいいだろう。
福岡マラソンのスタートは福岡市天神という繁華街のど真ん中。
私のスタートブロックDは、とりわけにぎやかな岩田屋百貨店の前だ。
8時すぎ、天神を南北に分ける渡辺通りの交通規制が始まり、
スタート位置に移動する。
hukuoka1.jpg
「帰ってきた」。
かつて住んでいたこの街でのレースは、
ほかの開催地とは違った格別の思いがこみ上げてくる。

2年前、第1回福岡マラソンのときも、ちょうどこの辺りで号砲を待った。
あの時は男性アナウンサーが、だいぶ盛り上げてくれた。
「高い倍率の抽選で選ばれたみなさん!」と言われてちょっとだけ嬉しかった。 
今回は女性MC。
落ち着いた口調で淡々と進行していった。
8時20分スタート。
糸島半島を目指して1万3千人が走り始めた。

渡辺通りを左へ曲がり
下町の雰囲気が残る唐人町へ。
その手前の3km辺りに、昨夜一緒に水炊きを囲んだN山さんがいるはず。 
待ってるとすれば左側のはず。
すると、右手にはサブ4のペースランナーがいるのに気がついた。
そちらに寄って付いて行きたい気もした。
しかし、そうするとN山さんとは会えないだろう。
左寄りのランナーは、みんな誰かを探しているのかペースが遅い。
迷っているうちにサブ4は遠くに行ってしまった。
結局、N山さんには会えぬまま唐人町を過ぎ、
よかとぴあ通りに入る。
hukuoka2.jpg 
ヤフードーム、福岡タワー、ホテルシーホークなど近代的な建築物が並ぶ。
福岡博物館、図書館を過ぎると、かつて住んでいた百道一丁目。
懐かしさで心が躍る。
そして室見川を渡る。
河口付近では、もうサワラやサヨリが釣れる季節が終わったはず。 

懐かしんでいたら、案の定ペースが落ちていた。
10km地点、GPSでは58分27秒もかかっている。
サブ4のためには遅くても56分台でないと難しい。
生の松原に入る。
元寇防塁のある歴史のある松原を抜けると、
いよいよ博多湾が広がる。
hukuoka3.jpg
ヨットが5、6何艘か停泊して、
がんばれーと応援してくれている。
ヨットの向こうには檀一雄が愛したという能古島が見える。
私には能古島といえば井上陽水の「能古島の片思い」が真っ先に浮かぶ。

アスファルトに映る影は弱く、
日差しはほとんど感じない。
気温の表示は18度まで上がっていたが、
暑さが走りに支障になるほどではない。
風もほとんど感じない。
ベストコンディションと言っていいだろう。 
hukuoka4.jpg
海岸線から今宿駅付近の商店街に入る。
道が狭く、右に左に進路を変える。
応援の人たちが特ににぎやかなのもこの一角だ。

ところで、ずっと迷っていることがあった。
レース前に2度通い、すべて完了して万全なはずだったが、
またトイレに行きたくなった。
我慢できるだろうか?
いや、我慢していたら福岡マラソンを楽しむことはできない。 
扉のない男性用トイレならロスタイムは最小で済む。
もしあったら入ることにした。

やがて九州大学の構内に入る。
広い、ゆったりとした上り坂のピークで折り返す。
折り返してからは、内側を走ることにした。
ひょっとして、SAWAさんや49manさんがいるかもしれないと思ったからだ。

下り坂の途中に21kmの中間点があった。
2時間2分。
10km以降、だいぶペースを上げていたようだ。
サブ4が十分可能なタイムだ。
狙ってみるか。
 
そんなことを考えたいたら、見慣れた笑顔で手を振る女性。
SAWAさんだった。
右手を出してハイタッチ。
仲間と励ましあえる幸せをかみしめる。
hukuoka5.jpg
しばらくは博多湾に沿ってアップダウンを繰り返す。
応援をしてくれる人たちが、より温かい雰囲気になってきた。

やはりトイレに行きたい。
男性用はなかったが、空いたので用を足した。
ロスタイムは1分程度か。

エイドステーションは豊富だし、
バナナ、みかんやパン、うどんまで、給食の種類も豊富だ。


ただ、後半はアップダウンが繰り返す。
上りがちょっとこたえるようになってきた。
もう金沢でサブ4達成していることだし、
今期はもう、がんばらなくてもいいかな。
もう、ゆっくり走ってもいいかな。
上りはきついし。
もう、いいかな。

坂道でペースが落ちてからは、ずっとそんなことばかり考えていた。
かつてないほど、私のペースは30kmすぎから落ちていた。

糸島半島の名物、夫婦岩が見えてきた。 
そして、また坂道は続く。
ほぼサブ4は不可能になった。
でも、4時間10分は切らないと、
今後のレースでどんどんタイムは落ちていきそうな気がする。  

36km過ぎだったと思う。
「これからスパートしまーす!」
すぐ後ろで、よく通った男性の太い声がした。
声の主、赤いウエアのがっしりした男性と、
「報道」というビブスの男性が私を追い越し、
前を塞ぐように回り込んできた。
hukuoka6.jpg
おそらく男性はアナウンサーか地元のタレントなのだろう。
沿道からも 「BBさんがんばれ!という声がとんできていた」
スパートには、どんな意味があるというのか?
これからではスパートしたところでサブ4は不可能なはず。
では、彼がスパートに価値を見出すのはどんな理由だろう?
前のランナーをどんどん抜いて順位を上げることくらいのはず。
「スパートします」と宣言をして、
カメラの映る場所で、まずは私を抜いたというわけだ。
 
上等じゃないか。

映像が浮かんだ。
ゴール前で、次々と他のランナーを抜いて、
カメラの前で笑顔で両手を上げる彼の姿だ。
きっと彼はそんなふうに思い描いているに違いない。
そして汗を拭きながらカメラに向かって言うのだ。 
「ラストは死に物狂いで頑張りました」と。
いいアイデアだ。 
だけど、気の毒だけど、そうはならない。
なぜなら、最後のゴールシーンの直前、
彼は身長183センチの男にカメラの前で抜かれることになるのだ。
しかも、その男は彼の顔を隠すように目の前に回り込む。
おかげで万感の表情の彼をカメラはとらえることができない。
その邪魔者は、私のことだ。 

ロックオン。

あと4kmだ。
どうってことない。 
彼がどんなに余力があり、スパートしたとしても私は付いていく。
そして最後はかならず私が前に行く。
カメラの前で。

もう疲れは感じなかった。
自分の描いたシナリオに酔っていた。
疲れも、のどの渇きも感じなくなっていた。
今回はこのために体力を温存していたのだ。
100パーセント彼に勝つ。
これが、アドレナリンなのか。
5㍍くらいの距離を置いて付いていった。

しかし、そのプランは実現できないことを知った。
彼のスピードは目に見えて落ちてきたのだ。
上りでもないのに、キロ6分以下に落ちている。
たまたまだろうか。
しばらくは付いて行ったが、いっこうにペースを上げる気配はない。
あと3kmというのにエイドで立ち止まった。
「おい、君、スパートするんじゃなかったのか?」
「あれは嘘だったのか?」
声をかけようかと思った。

そもそも「スパートします」とは、
単にテレビ向けのカッコつけたコメントだったのか。
これでは4時間10分も切れないかもしれない。

見切りをつけて、私は先を急ぐことにした。
41km。
49manさんの友人、N山さんを発見!
声をかけた。
電車やバスを乗り継いで、ここまで来てくれたのだ。
ありがとう! 

もう、ゴールはもうすぐだ。
最後にスパートしてこないかと振り返った。
やっぱり、あの赤いユニホームは見えなかった。
スパートは、私を抜いたあの一瞬だけだったのだ。 
 
最後の5百メートルは全力で走った。
次々に前のランナーを抜いていく。 
これがスパートだぜ、ベイビー! 
 
 

 
 


















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第2回金沢マラソン報告 [金沢マラソン]

目標は達成した。もう十分だろう。
だらだらと同じことを繰り返し書き続けるようなことはしたくない。
満たされた気分の今こそがやめるべきとき。
そんな思いで数ヶ月前に更新をやめた。

2016年10月23日、今シーズン最初のレース、金沢マラソンを走り終えた。
翌週には大阪マラソンの応援に行き、マラソンを通じた仲間と再会した。
もう一度ペンをとることにした。
改めてマラソンの魅力を心から感じたことが一番の理由だけれど、
素晴らしい大会の素晴らしさを、走ることの楽しさを記録すること。
それも私にできるささやかな仲間への恩返しだと思えた。

金沢マラソンを終え、羽田空港に向かう短いフライトの中、
ずっとそんなことを考えていた。

まずは金沢マラソンの報告。

10月22日の前日受付は混雑を予想していたけれど、あっという間に終わってしまった。
金沢マラソンはまだ2回目の新しい大会だ。
だいぶ導線を考えたのだろう。
参加者を待たせるようなことがほとんどないのだ。
受付も、記念品も、当日のバスでの移動も。

唯一不満だったのが、大会当日のスタート会場でのこと。
金沢城公園では水分補給をすることができなかった。
どこかにエイドがあったのかもしれないが、
探しても見つからなかったし、自販機もなかった。

仕方がないので会場外の自販機に行こうとしたら、
『本当は禁止なんですけど」とボランティアの女性に言われた。
つい、強い口調で「中では水分補給が一切できないんですよ!!!」
と言ってしまった。
「私たち、中のことはわからないんです」と申し訳なさそうに言われた。
こちらこそ、申し訳ない気分になった。

でも、水分補給は大切だ。
持ってこなかった私が甘いのだろうか??

スタート前、ゲストランナーや大会アンバサダー、そしてペースランナーが紹介される。
パンフレットで知ってはいたが、
ゲストランナーに谷口浩美、長谷川恵理、
サブ4のペースランナー に加納由理、4時間15分に大南博美、4時間半に弘山晴美。
男子ランナーもトップクラス数人だが、名前は割愛する。
まあ、とにかく有名人と一緒に走れるのだから、
それだけでもマラソン好きにはたまらない。

私のスタートブロックはC。
AからHまで8ブロックあり、
その3番目だから、
正直言って「力がついたんだなあ」との感慨もある。
ちなみに同行のゴードン氏は、なんとAブロックだ。
2016-11-08 22.48.01.jpg
8時50分、スタートした。
私はCブロックの最後尾に並ぶ。
トイレが混雑していたために整列時間ぎりぎりになってしまったからだ。 
Dブロックの最前列、つまり私のすぐ後ろには
大南博美、弘山晴美というトップランナーがペースランナーとして控えている。
Cブロックの先頭にはサブ4のペースランナー・加納由理がいるが、
果たして追いつけるだろうか。

2016-10-23 20.45.51.jpg
スタート直後、金沢城の横を通過する際、
鮮やかな和服姿の女性たちが並んでいた。
さすが金沢。そんな思いにさせてくれる。
右手は兼六園のはずだが、外から様子はほとんどわからない。

天気予報は曇り、時々晴れ。のち小雨。
走り始めた直後に青空が見えてきた。
10月の北陸とはいえ、直射日光は容赦ない。
2016-11-08 22.49.02.jpg
香林坊や近江町市場など、しばらくは金沢の有名な繁華街を通る。
応援の人たちも一番多い。

金沢マラソンのコースの特徴は9kmに多少上りがあるが、
その後、下ってからはアップダウンがほとんどないことだ。
しかも、「あと200mで最高地点」とか、
『最高地点到達(67m)」とか、表示がなかなか親切なのだ。
2016-11-08 22.50.42.jpg
私が気に入ったのが、15km前後の古い家並みを走る狭い道だ。
狭いだけに、応援を身近に感じる。
クランク状に右に左に折れるが、
そのぶん景色も変化する。
2016-11-08 22.51.25.jpg
漢方や和服、お菓子の老舗などが並ぶ店先をかすめて市街地を走る。
20kmすぎには中心から離れるけれど、
トンネル、橋などしばらくは変化が楽しめる。

さて、私の走りについて。
サブ4が狙えるか、狙えないのか。
あまり自信はなかった。
これまで2度達成したが、
歯を食いしばり、精一杯がんばった結果のサブ4だった。
今年の夏はあまり距離もスピードも、練習量が少ないのは自覚していた。
もちろん、多少は蓄積もあるので、あわよくば、という気持ちは持っていたが。

2016-11-08 22.49.43.jpg
ちょうど20kmを過ぎた頃だ。
前を走っていたランナーが急に右に寄った。
そこにはゼッケンに名前を書いた女性ランナー がいた。
彼はその女性ランナーに握手を求めにいったのだ。
リオ五輪でメダルを取ったその柔道家の活躍は記憶に新しい。
それに最近、婚約を発表したはずだ。
金沢出身らしい。
「おめでとう◯◯さん」というボードもいくつか見てきた。
柔道選手に負けるものか。
私の闘争心に火がついた。
ペースを上げて抜き去った。

アミノバリュー、パワージェルなどは順調に摂取できた。
アミノ酸は、ほぼ10kmごとに。
ゼリーは15kmごとに。
バナナや梅干しもあったし、
有名な店の、きんつば もあった。

JRを超えて西側に来ると25km。
街並みが新しいく、ドラッグストアやファミレスなど、
どこにでもある郊外の風景になる。

30kmすぎの折り返しで、
また柔道家が私の前にいることに気がついた。
エイドで抜かれたのだろうか。
しかし、十分追い越せる距離だ。
2016-11-08 22.52.13.jpg
左手に金沢駅が見えてきた。
右に折れると、しばらくは広いまっすぐな道が続く。
1キロ5分25秒くらいを維持している。
このままならサブ4はいけるはずだ。
でも、GPSの誤差も気になる。
確実にするにはもう少し上げないと。

柔道家を抜いた。
しかし、彼女は沿道に手を振りながら、笑顔で走っている。
私よりもずっと余裕がありそうだ。
さすがアスリート。敵ながらあっぱれだ。

35kmを過ぎた。
やや貯金があるはずだ。
キロ6分ペースでもサブ4は可能ではないか?
キロ6分かかると危ないが、5分50秒で走れば大丈夫。
そんな計算ばかりしていたのは、
疲れて弱気になっていたのだろう。
気がつけば柔道選手が前を走っていた。

シーズン最初のレースでサブ4。いい気分だ。
私の走りをネットでチェックしているであろう、
マラソン仲間の顔が浮かんだ。

沿道には白とスカイブルーのユニフォームを着たボランティアが、
絶えることなく笑顔で声援を送っている。 
いつも思うのだけれど、
他人をあんな笑顔で応援できる人は、
きっと心が美しいのだと思う。
その美しい心が、顔に表れている気がする。
レース後、「金沢は美人が多いと思いませんでしたか?」ゴードンさんが聞いてきた。
まったく同感だ。

レースの直前、あまり走らず休んだことが良かったのだろう。
いつもは痛み出すふくらはぎにも、
それほどの疲労は感じない。
このペースなら、まだ走れる。

ゴールの陸上競技場が見えてきた。
最後の直線コースに入った。
スパートだ。
そう思ったとたん「松本薫さんゴールです!」とのアナウンスが聞こえてきた。
ピンク色のユニフォームを着た女性柔道家がゴールする後ろ姿が見えた。
もっと早くスパートして抜いていれば自慢話になったかもしれない。 

楽しく走れて目標も達成できた。
でも、それだけではない。
金沢マラソンはホスピタリティ満点の素晴らしい大会だった。
また出たい。
そう思っている。

 


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いわて銀河100kmチャレンジマラソン報告<長文ですよ> [ウルトラマラソン]

ウルトラの朝は早い。

目覚ましの音で起きたのは午前1時。
私は寝つきは良くないたちだけど、
マラソン仲間からもらった睡眠導入剤のおかげでぐっすり寝られた。
コンビニで買った冷やしうどん、おにぎりを食べ北上駅に向かう。

陸上競技場に向かうシャトルバスは30分おきに駅のロータリーから出る。
午前2時すぎ、すでに長い行列ができていた。
すぐには乗れないと覚悟を決めていたけれど、
「補助シートで良ければ乗れますよ」と係の人が言う。
5分も待たずに乗ることができた。
会場まではほんの7、8分で着く。
わざわざ次のバスを待つ人の気持ちがわからない。
振り返れば、座席のすぐ後ろで長老ツッチーさんが弁当を広げていた。

バスを降りる。
星の見えない真っ黒な空の下、
競技場がまぶしいほどに輝いて見える。
近づくほどにMCの明るい声やランナーたちのにぎわいも大きくなる。

競技場に入ると、すぐに着替えができるスペースがある。
着替えは済ませていたけれど、
シューズをチェック、もう一度おにぎり、大福を食べ、ストレッチ。
外の気温は17、18℃くらいだろうか。
シャツ1枚でも寒さは感じない。
イントラMさん夫妻、ゴードンさん、ツッチー長老、antianと合流した。
KANPEIさんもやがて合流。

スタート15分前、いっしょに記念写真を撮ってからコースに並ぶ。
すぐ後ろには、昨年の後半、しばらく一緒に走ったことのある、
埼玉のはるな愛さんが立っていた。
2016-06-14 18.25.36.jpg
イントラMさん、KANPEIさん、antian、ゴードンさん、ツッチー長老。
いつもの仲間に囲まれていたためだろう、
スタートの緊張感はまったく感じず、気がついたらレースが始まっていた。
前回まで、大介花子がスターターを務め、
ハイタッチもしていたけれど、今回は姿が見えなかった。

まずは競技場のトラックを走り、
外に出てからも周回するコースをしばしキロ7分弱のペースで走る。
「いってらっしゃーい」何度もイントラMさんの奥様が大声で手を振ってくれて嬉しかった。
ちなみに奥様は、このあとシャトルバスに乗り移動、
50kmの部に出場する。

気がついたとき、ゴードンさん、antianはもう見えなくなっていた。
さすが、スピードのある人は違う。
でも、初の100km。そんなに早くて大丈夫だろうか?

イントラMさん、KANPEIさん、私、ツッチー長老の順でしばらく走っていたけれど、
少しづつ、お互いの距離は離れていく。
5kmを過ぎKANPEIさんの姿も見えなくなり、
長い一人旅が始まった。
2016-06-14 18.27.21.jpg
ウエストバックにはゼリー2本、アミノバリュー3本、シトルリン3本。
そして写真用にスマホを入れている。
マラソンに重さは悪。荷物は最小限にした。
シューズもより軽量なピュアコネクト4にして、ソックスもあえて薄手にした。

「初心者には底が厚いシューズ」という定説には根拠がなかったことを、
米の大手運動用品メーカーも事実上認めている。
底の厚いシューズは足に余計な負荷をかけるらしい。
そういえば、昨年あたりから裸足でマラソンを走る人が増えている。
初心者でも靴底が薄いシューズを使うのがスタンダードになるかもしれない。

運動公園を出てから、
農道のような道を西へ向かう。
10kmくらいまでは、ゆるやかな上り坂が続く。
といっても高低差の厳しいこのコースは2箇所の大きな下りを除けば、
コースのほとんどは上りと言っていい。
ペースはキロ7分を目安にしているが、
気がつけば上りでペースは落ちていたりする。
でも、気にしないことにした。
あくまでも100km完走こそが目標なのだ。
2016-06-14 18.27.54.jpg
ほぼ5kmおきにあるエイドには必ず立ち寄った。
最初は水とアクエリアス、あら塩だけだったけど、
徐々にバナナ、梅干し、おにぎり、パン、コーラ、オレンジなどが並ぶようになる。

25kmすぎ、トイレに寄った。
仮設トイレは2つに対し3、4人が並んでいた。
公民館のような施設の中のトイレは、
個室は1つに対し6、7人が並んでいた。
個室には用がなかったので、すぐに終了。
ロスタイム2分くらいだろうか。
走り始めるとツッチー長老に追いついた。
トイレタイムの間に抜かれたようだ。
走りながらいっしょに記念写真を撮った。
先に進むと、すぐ後ろから、また長老の声。
振り向くと今度はKANPEIさんが一緒だった。
今度は3人で記念写真。
トイレタイムの間に抜いていたらしい。
「曇り空で快適ですね。最高ですね」。
そう言いながらKANPEIさんはピッチを早め、
後ろ姿はすぐに小さくなっていった。
2016-06-14 18.30.49.jpg
右膝の内側が痛み始めた。
錯覚にちがいない。そう思うことにした。

やがてコースは銀河なめとこラインへ。
いくつかの温泉街を通り抜け、その先は奥羽山脈を越えて秋田に続いている。

ふと、GPSを見ると距離やタイムが消えて、
普通の時計に戻っていた。
こんなトラブルは最近なかったのだが。
改めてクロノグラフを合わせ、35kmくらいから再びスタートさせた。
距離も時間も数字はすべて0から始まる。
これからは表示される距離に35を足して計算していかなくてはならない。
このトラブルが、あとで大きくレースに影響することになる。

35kmすぎ、エイドに着くとKANPEIさんがいた。
「ここに味噌汁ありますよ」
そうだった。ここの手作り味噌の味噌汁は絶品なのだ。
前回、ここの味噌汁から急に元気が湧いてきたことを思い出し、
お代わりして計3杯いただいた。

右に左に温泉宿が現れる。
温泉付き別荘の看板もあった。
こんな山奥の家に住んで温泉三昧・・・・・・
昨年もそんなことをぼんやり考えた気がする。
2016-06-14 18.32.47.jpg
40km。
豊沢ダムが近づくにつれ、上りは険しさを増す。
そろそろ歩くタイミングだろうか。
最初に歩くときはちょっと罪悪感がある。
去年もこのへんからだったかもしれない。
心の中で自分に言い訳をする。
走れないわけじゃない。
足をすり減らさないために歩くのだと。

灰色の空の彼方からヒバリのさえずりが聞こえてくる。
近くの木立からウグイスの声もする。
森の中にランナーたちの足音が響く。

午前9時をすぎた頃から、
おそれていた青空が広がり始めた。
天気予報通りだ。
東北の澄んだ空気のせいだろうか、
直射日光は東京のそれより格段に強い気がする。
峠越えのつづら折りの道で、左に右に木立の日陰を求めながら走り上った。
2016-06-14 18.33.20.jpg
豊沢湖は花巻市にある人造湖だ。
ダムの上がコースになっている。
コースの西、左手に大きな湖が広がり、
東は急峻な渓谷になっている。
自転車のグループが気持ちよさそうに休憩していた。
緑の山々と渓流の美しさは、
この50km前後がハイライトと言えるかもしれない。
ただ、暑すぎて堪能する余裕はなかった。
熊出没注意。
そんな警告の看板も増えてくる。
今年は岩手、秋田で熊の被害が相次いでいる。
熊よけの鈴をつけて走っているランナーも多い。

コバさん、antian、ゴードンさんは、もっとずっと先を走っているのだろうか?
イントラMさんは? KNAPEIさんは?
仲間が大勢参加していると、そんなことを考える楽しみもある。
「50kmを目標」と言っていたツッチーさんは、
坂道を上っているだろうか?
2016-06-14 18.34.29.jpg
55kmをすぎたあたりで、ようやくトンネルが見えてきた。
トンネルは上り坂の終わりの目印であり、
しばし、暑さから逃れるシェルターでもある。
中に入ると冷んやり気持ち良い。
3つ目の長いトンネルでいよいよ下りになった。
なかなか出口の見えない長いトンネルだった。

バイキンマンがいた。
いや、暑さのせいでバイキンマンのお面は脱いで腰にぶら下げられていた。
だから「バイキンマンのお面を腰にぶら下げて走る人」というべきか。
尻尾はそのままだったので、
お尻で揺れながら太陽の光を反射していた。

50kmを過ぎた頃から、前後を走る顔ぶれが決まってくる。
同じ人と抜きつ抜かれつを繰り返すことになるのだ。
バイキンマンだった人も、そんな一人だ。

長いレースで一番の楽しみは何か?
それは自分で預けた荷物を受け取れる66km地点のエイドだ。
前回、その楽しみには思い至らず、ゼリーやおにぎりなどの糖分を用意しただけ。
本番では食欲をそそらず、
結局何一つ食べずに、そのまま走り始めた。

今年はコンビニで買ったプラスチックコップ入りコーヒーを、
凍ったペットボトル2本とともに二重にしたクーラーバックに入れて預けていた。
これは我ながら良いアイデアだったと思う。
よく冷えた甘いコーヒーは思わずうなるほどのうまさだ。
少し溶けたペットボトルのジュースも
アクエリアスを飲み飽きた身には新鮮な味だった。
ただ、カスタードクリーム入りの菓子パンは、
クーラーバックの外の袋に一緒に入れただけだったので、
直射日光でアツアツになっていた。
腐っているかもしれないと思い食べなかった。

またもKANPEIさんに会った。
メールを何本も出して時間がかかったとか。
「もうどっちにしたって完走は間違いないですよ」KANPEIさんは力強く言う。
「いえ、30km以上あるのに4時間しかありませんよ」と私。
「??5時間ありますよ」
私が時計を見誤っていた。
今回も一緒に走り出したが、すぐにKANPEIさんに離された。
今日、離されるのは何度めだろう。

70kmすぎ、唯一の折り返し地点があり、
先に折り返したKANPEIさんとまた会った。
「そこのエイドに冷たいコーラありましたよ!」大声で言われた。
走っている時に飲む冷たいコーラは何物にも代えがたい。
2016-06-14 18.37.18.jpg
このエイドは73km地点の関門にもなっている。
係の人に「関門時間まであと何分ありますか?」と聞いてみた。
「20分」と返ってきた。
確か、去年は17分だった。
3分しか違わない。
ということは、今年もギリギリだと言うことだ。
ここから、80kmまでの道が実にいやらしい。
山に入ると細い曲がりくねった山道がずっと続く。
「このカーブを曲がれば下りかな?」
そんな淡い期待を抱いてカーブを曲がると、
見えてきたのは上り坂。
今度こそ。
そんな気持ちで次のカーブを曲がる。
でも、そこに待っているのはやはり上り坂。
カーブのたびに淡い期待を抱いて、
当てが外れ、心が折れそうになる。

背中に私と同じ業種の会社名が書いてあった。
「岩手△△」の方ですか?
思わず声をかける。
「私も△△関係です」
しばらく並走する。

沿道にはところどころに、かぶり水用の大きなバケツが置いてある。
ひしゃくで救い、頭からかぶる。
奥羽山脈からの湧水は冷たい。
かぶるたびに生気がよみがえる。
ただ、そのためシューズが濡れてきた。
ずっと痛みの消えない右膝にも水をかける。


80km。
ようやく下りだ。
ここで時間を挽回しなければならない。
ほぼキロ6分くらいのスピードで下る。

去年と同じミスをしていたことに気がつく。
80kmすぎにある関門は、
いったい何キロ地点で、何時なのか?
正確なことを覚えていなかった。

坂道を下りながら60代後半と思われる、おじさんに聞いてみた。
そのおじさんのゼッケンは3桁の番号だった。
いわて銀河は5回完走すると3桁の好きな番号を、
永久に自分の番号とすることができる。
つまり、3桁ということは5回以上完走しているということだ。
でも、そのおじさんも関門の時間と距離をはっきり覚えていなかった。
「88kmで午後4時って、さっきのエイドの人が言ってましたよ」
と、女性がその話題に加わった。
午後4時まであと18分。現在は推定85km。
あと3kmで18分???
通常のマラソンなら可能な数字だが、
80km以上走っている今、それは厳しい。
しかし、ここで引っかかってはカッコ悪い。
その女性も勢い良く走り始めた。
「私、遅いんです。いつもキロ9分ぐらいでジョギングしているんです」
「いえいえ、速いじゃないですか!」

歩いていた女性を抜いたとき、女性同士が話をした。
「あと1.3kmですってよ」
関門は88kmではなく、86kmというのだ。
たぶん、そっちが正しい気がする。 
あと16分で1kmなら、歩いたって平気だ。
でも、確かなことがわからない。
ペースを緩めず走り続けた。
「あの人は何度も出ているから間違いないですよ」とキロ9分の女性。
いや、しかしここで油断したら・・・
その時、突然、関門が見えてきた。
急に膝が痛くなってきて、関門まで歩くことにした。
86.3km、午後4時が関門だった。
まだ10分以上ある。
ひと安心して冷たいコーラを飲んだ。

キロ9分の女性はパイプ椅子に座ってスマホをいじりはじめた。
声をかけずに一人走り始めた。
次の関門は90km。
それほどきつくはなかったはずだ。
上りは歩き、くだりはキロ8キロくらいで走った。 
前回は何人かで励ましあっていたけれど、
今回は1人。
埼玉のはるな愛さんは、そろそろ追い上げてくるころだろう。

国道のような道に出る。
車が次々と通り過ぎ、沿道には病院や温泉施設が立ち並ぶ。
山道はもう終わった。
ゴールのある雫石が近いと感じる。
いや、でもまだ8kmはある。
けっして短い距離とはいえない。
キロ7、8キロのペースで走る。

国道から、雫石に向かう横道にそれた。
いよいよと思うと、
今度は長い坂道が疲れた足に追い打ちをかけてきた。 
上りながら歩いている女性を抜こうとした時、
午後5時を告げるメロディが流れてきた。
思わず時計を見た。 
ちょうど歩いていた女性も時計を見て、
絶望的な目で、こちらを見た。
目と目が合った。
声をかけた。
「あと7kmはありますね」
「もう(完走は)無理でしょうか」
「キロ7分で走れば大丈夫ですよ」と言って先を急いだ。 

勘違いしていた。
GPSがあてにできないせいもある。
距離もスピードの計算も狂っていた。
この時点で残り6キロは切っていた。
ということは、キロ10分ペースでも十分ゴールできるはず。
このあと、すぐに「残り5キロ」の表示が見えた。

仮装ランナーがいた。
100kmの間を抜きつ抜かれつしていたけれど、初めて声をかける。
「ついに走り切りましたね」
「はい」
「(その格好で完走は)絶対無理だと思っていましたよ」
「ぼくも無理だと思っていました」
ゴールができると思うと嬉しくて、
つい、声をかけたくなってしまう。
2016-06-18 22.47.25.jpg
雫石の町が見えてきた。
街全体がやや高台にある。
最後の上り坂の下を、秋田新幹線が通り抜けて行った。
みんな心配しているかもしれない。
2度目の挑戦の私のゴールを疑う人はいないだろう。
しかも、もっと早いタイムで帰ってくると思っているだろう。
コバさんやantianはシャワーを浴び終えているかもしれない。
もうビールを飲んでいるだろうか。
ゴールすると生ビールの無料券がもらえる。
ビールのことを考えるのも、もう解禁だ。
2016-06-14 18.38.59.jpg
野球場が見えてきた。
ということはゴールも近い。
あと少し。
大きなカーブを反時計周りに走ると、いよいよゴールが見えてきた。

左に、ツッチー長老が手を振っていた。
いよいよ帰ってきた。
北上在住の友人、テルコさんも声をかけてきた。
もうゴールしていたのか?
それとも関門だったのか?
すぐにゴールするのはもったいない気がして、
テルコさんと一緒に写真を撮った。

ゴール。
13時間51分。
去年より、4分タイムを縮めた。

昨年の10月、タートルマラソンからマラソンシーズンは始まった。
さいたま国際は出場せず。
NAHAマラソン、東京トライアルハーフ、
ロサンゼルスマラソン、かつしかふれあいハーフ、
佐倉健康マラソン、かすみがうらマラソン
そして、いわて銀河100kmチャレンジ。
振り返れば、フルも100kmもタイムはほとんど伸びなかった。

完走のメダルと記録証を受け取り先に進むと、
コバさんとantianが笑顔で立っていた。
タイムなんかどうでもいいと思った。

東北の地で、仲間と一緒に走れた喜びがわいてきた。


(おしまい)

長文を最後までお読みくださりありがとうございました。
























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1週間切りました [いわて銀河チャレンジ]

もう6月ですね。
気がつけば秋のレースのエントリーが終わっていたりします。
どのレースに出るのか、しっかりと計画を立てなければなりません。
さきほど、NAHAマラソンへのエントリーを済ませました。
当選すれば3年連続となります。
前後の時期に開催される奈良もいつかは出たいので、
NAHAは今年で最後のつもりで走ります。
2016-06-06 21.52.22.jpg
いわて銀河まで1週間。

6月4日は両国まで15kmを走りました。
川沿いの紫陽花が見事でした。
スカイツリー前で記念写真撮って、
隅田川沿いを南下、
国技館がゴールでした。
2016-06-06 21.53.11.jpg
ランチは両国らしくちゃんこ屋へ。
その後、40円の自販機で喉を潤し、
さらに清澄白河まで歩いて、
評判のブルーボトルとかいうカフェに入りました。
いつもながら、コースプランを立ててくれる隊長には感謝です。
2016-06-06 21.55.10.jpg
その後、家族と歌舞伎町で合流し、
次女が青春を賭けているダンスを見物。
最後は門前仲町のビストロへ。
いそがしい1日でした。

翌、6月5日は柴又100kの日。
仲間のSinさんが初のウルトラに挑みました。
惜しいことに午後10時、95kmで収容されました。
残りはたったの5km。
悔しいでしょうが、おそらくそれ以上に達成感があるのではないかと思います。
だって、95km、14時間半も走り続けたのですから。

私はといえば、疲れを抜くため5日は4.6kmしか走りませんでした。

いわて銀河100kmチャレンジは標高差が500m以上あります。
おそらく今回もあの長い坂は歩くことでしょう。
厳しい戦いが待っています。

今のところ、体調も万全。
こわいのは風邪と怪我ですね。





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最後の追い込み [いわて銀河チャレンジ]

エントリーのハガキが届きました。
いよいよですね。
宮古ウルトラの年代別覇者・コバさんの場合は、
疲れがとれるのに2週間かかるとのこと。
そろそろ距離は控えめにしなければなりません。
私の場合は、もともと距離は控えめでありますが。
2016-05-29 22.31.27.jpg
今週末は、土曜日に仲間と18km。
近所の公園や江戸川に沿った道を走りました。
野鳥のいる公園を走っていたら、
隣の学校から、運動会の音楽や歓声が聞こえてきました。

日曜日は、いつもの坂道170mを上って降りてを1時間繰り返し。
そのまま三番瀬に行って帰ってきました。
2時間40分で25km。
先週50kmを走ったことで、
少々不安な気持ちがやわらいできました。

5月に入って走った距離も300kmを超えました。
ウルトラを走るランナーにとっては、
決して長い距離ではないのでしょうが。

これから距離は控えめにして、
足を休ませたいと思います。
どこまで休ませればいいのか、
なかなか難しいところですが、
長くても15km。
いや10km程度を、
週に3回くらいでしょうか。

KANPEIさんやゴードンさん、antianはどう調整しているのでしょう。
みんながゴールするシーンを思い描いています。
去年はちょっと怖かったけれど、
今年は楽しみのほうが大きいです。

とはいえ、辛いのは間違いないのですが。



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秋のエントリー始まってます! [マラソン]

気がつけば、エントリーが本格的に始まっていました。

これまでエントリーを済ませたのは、
10月26日 金沢マラソン
11月13日 福岡マラソン
うっかり、大阪マラソンはエントリーを忘れていました。
どちらも抽選なので、参加できるかわかりません。

福岡マラソンは同じ日にさいたま国際マラソンが行われます。
福岡は高倍率なのに対し、さいたま国際は先着順。
昨年、さいたま国際には悔しい思いをしたので、
雪辱のためエントリーしてみることにしました。
23日(月)正午開始。
その場合、福岡は当選しても見送るつもりです。

ほかに年内でエントリーを考えているのは、
10月16日 四万十川ウルトラマラソン
11月6日 第2回いしのまき復興マラソン
12月4日 NAHAマラソン

四万十川ウルトラは、ずっと出たいと思っていました。
まだエントリーしていないのは、
60kmか100kmかで迷っているからです。

さて、今週末もたっぷり走りました。
5月21日(土)は仲間と50kmに挑戦。
ジムを出て、江戸川を越え、荒川沿いを北上。
赤羽の岩淵水門でちょうど25km。
折り返して、ちょうど50kmでした。
気温は26度。
暑さに慣れる意味でも良かったかと。

35kmすぎ、四つ木コンビニで菓子パンを食べて、
パック入りコーヒーを飲んだのですが、
そのコーヒーがおいしくて、2パック飲みました。
すると、あら不思議。
それまでの疲れが吹き飛び、
元気になったのです。
カフェインのおかげかもしれません。

いわて銀河では、70kmくらいに、
自分の荷物を用意できます。
コーヒーを加えようかと思っています。

今日、22日(日)も少々走りました。
いつもの坂道を25往復くらい。
1時間6分で10.6kmでした。
途中、SINさんと遭遇。
足の故障、癒えるといいのですね。


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いわて銀河チャレンジまで1ヶ月 [ウルトラマラソン]

おそらく、たいていの人には「遊びか?」と言われてしまうような、
そんな仕事を時々請け負ってしまいます。
今週末もそうでした。
一ヶ月後に迫ったウルトラに向けてしっかり走り込みたいのに、
土曜日は昼間から野球を観ながら、
お酒を飲まなければならなくなりました。
控えればいいじゃん?
いえ、それが出来ないのが私の弱さなのです。

午前中は多少時間があったので近くの公園へ行き、
坂道を何往復かすることにしました。
するとコバさんとバッタリ。
トレーニングの終わりかけでしたが、しばらく並走しました。
「ウルトラはごまかしがきかない」
「距離を走っておかないと」
フルではサブ3。宮古島の100kmでは年代別で優勝。
実績のある方の言葉には重みがあります。

15日(日)、予想通り午前中は走れる体調ではありませんでしたが、
午後からせめて30kmを走ることにしました。
家を出て、公園を通り抜けて、三番瀬に出るいつものルート。
そのまま新浦安に出てから弱気になり、Uターンすることが多いのですが、
それではせいぜい20kmくらいにしかなりません。
意を決して、その先の火山やモスクの見える場所に向かいました。

2016-05-15 22.28.52.jpg
最初の公園で数回坂道を走ったため、
10kmを超えたあたりで早くも足が痛くなってきました。
リゾートから江戸川にそって北上すれば、
はやめに終わります。
しかし、今日の私は珍しく気合が入っていました。
江戸川を渡りきり、観覧車のある公園を通り抜け、
荒川に出ることにしました。
2016-05-15 22.29.33.jpg
公園の森の向こうから、
オレンジ色の日差しが照りつけます。
こんな時間になるまで走っているつもりはなかったのですが。
今日の最高気温は25度くらいでしょうか。
来月のいわて銀河では、日中、30度近い暑さも考えられます。
昨年のレースが事実そうでした。
暑さにも慣れる必要があるでしょう。
2016-05-15 22.30.20.jpg
荒川では、多くのランナーとすれ違います。
きれいな力強いフォーム
「きっと速いんだろうな」
そんな思いで後ろ姿を見送ります。

25kmを過ぎ、水門や櫓のあるところで、
幅の狭い川沿いの道に入りました。
春先には桜並木の美しい、情緒のある遊歩道です。
ふと、川の向こうに見たことのある姿が。
どうやらM田さんのようです。
声をかけました。
ちょうど折り返してジムに戻るところでした。
ジムまで、まだ5kmはあるでしょう。
一緒に走りました。
2016-05-15 22.31.34.jpg
と、今度はイントラMさんご夫妻が向こうから走ってきました。
面白いものです。
今日はM田さん、イントラMさんご夫妻。
昨日はコバさん、そして現役サブ3のI瀬さんともすれ違っています。
地元で走る楽しみの一つですね。

今日はM田さんと走ったおかげで、
一番きつくなる25kmすぎがあっという間に終わりました。



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